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南アルプスの魅力

 

大久保 栄治

学術調査委員

芦安からバスに乗り,夜叉神トンネルを抜けると,別世界に来たような景観が目に映る。終点の広河原に到着。野呂川にかかる吊り橋からの南アルプス連山の風景。バスを乗り換え北沢峠に向かう。仙水峠から見える甲斐駒ヶ岳摩利支天の岩が目の前に迫ってくる。南アルプスは変化に富んだ景色が多くあり,訪れた人たちに感動を与えてくれる。「日本にもこんなところがあったのか。」という気持ちになる。昔昔,私もそんな一員でもあり,徐々に南アルプスの虜(トリコ) になってしまった。

日本地図で見ると,南アルプスは南北に伸びる一本の山脈に過ぎない。しかし,山岳の地形は変化に富んでいる。また,気象条件も違い,風の強い風衝地や,雪が遅くまで残る雪田地,岩が崩れた崩壊地もある。そこには,多様な草花が様々な群落を作っている。

北海道の大雪山はスケールの大きい山であり,山梨では限られたところでしか見られない高山植物,チングルマが厚い絨毯を敷き詰めたように生えている。大雪山の景色も素晴らしい。しかし,南アルプスは別の面で魅力がある。先に述べたように,変化に富んだ景色と多様な草花は登山者を飽きさせない。少し植物の知識があればよりおもしろい。

北岳の高山帯にはキンロバイという低木の植物がある。黄色で径2㎝くらいの花が咲く。私はこの植物をモンゴルの平原で見た。どういうことだろう。  それは,氷河期時代に北極周辺の植物が,日本列島に南下し,氷河期の終わった現在,高山で生き残ったと言われている。このような植物が南アルプスには数多くあり,興味深いところである。

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